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スピリチュアルヒーラー寺尾夫美子
 

大谷女子短期大学卒。
デザイナーとして伊藤忠ファッションシステムに勤務する傍ら、さまざまな精神的な体験を経て人を癒すヒーリング能力に目覚める。幼少よりのサイキックな能力を活かす具体的な方法を得たことにより、スピリチュアルヒーラーとしての道を歩み始める。
1992年、マザーテレサとの出会いをきっかけに、ヒーリングを通してたくさんの方々が心の平和を手に入れるための活動を決意をし現在に至る。

  スピリチュアルヒーラー寺尾夫美子

 

 
魂の覚醒とマザーテレサ
 

 それは1991年、霊気イニシエーションを受けている時に起こりました。

 その日の朝、私の「愛」は、ハートチャクラがトクトクと脈打っているかのような感じで、体の内側で静かに存在していました。その感じは、小さな覚醒をいくつか繰り返し体験した時から始まっていました。
 この年の始めまでの数年間に、心が大きく開いたと感じる体験が、何度も何度もありました。それは、大きな気付きや心の成長があると、誰もが体験する小さな覚醒です。
 そんな体験の度に、私は、自分の「愛」の豊かさを実感し、それが少しずつ膨らんでいくのが分かりました。それに伴い、目の前の現実・対人関係・仕事の評価など、人生の豊かさがどんどんと増してきていました。

 霊気のイニシエーションの日、私の内側にある「愛」は、信じられない速度でどんどんと大きくなっていきました。ハートチャクラを抜け出して、体いっぱいに満たされたかと思うと、次には体を抜けてオーラの端まで広がります。まるで、呼吸をする度に膨張するかのようでした。 
 体がすっぽりと「愛」に包まれたと感じる頃には、「私」という自我は小さく小さくなって、意識の端の方でこじんまりとしている感じでした。

 「愛」は、私の体から絶え間なく溢れ、どんどんと広がり続けました。それは宇宙が体の中から誕生して、実物大の宇宙に広がっていくかのような感じでした。私の体を貫いて、私の自我を宇宙の隅っこにちょこっと片づけて、私は宇宙とひとつになりました。
 宇宙は「愛」そのものでした。その時、私の中には「愛」以外のものは何も存在していませんでした。私の小さな自我も、宇宙の一部となって宇宙と共にいる実感がありました。
 その日から私が感じるものはいつも「愛」でした。それまでは、あーでもないこーでもないと色々な感情と共にいたはずが、何を見ても愛おしく、何をしても素晴らしく、誰を見ても輝いて、どこにいても至上の喜びを感じるのです。
 そんな感じが3ヶ月ほど続きました。自分はもう天使になってしまったのか・・と思うくらい、自我も欲もなく、エゴはどこにも存在しませんでした。

 私は、「霊気」を受けるとみんなそうなるものだと思っていました。ところが、霊気ワークショップのアシスタントをしていた一年の間、私と同じような体験をする人はひとりもいなかったのです。 

 “あれは何だったのだろうか・・?”

 それが「覚醒」というものであるという事が分かったのは、それから一年も経ってからでした。素朴な疑問は、既に覚醒されていた本山博さんの著書で答えを見つけました。
 私は、魂が決めた時期に、魂の選んだ仲間達に見守られて、生まれてきた目的を生きる人生を、自分の力でスタートさせたのです。

 小さな覚醒は、日々、誰にでも起こります。問題が起こったら目を反らさないこと。
試練が来たときに、それが何を意味しているのか、自分のどこを改めるべきかなど、真剣に取り組むことによって、より良い道へ導かれていることが分かります。
 自分を変えることに、強い抵抗と恐れを抱くかも知れません。それが強ければ強いほど、真剣に変えるべきことなのです。試練は、成長のチャンスです。より良くなるための通過点だと捉えると、踏ん張れるのではないでしょうか。

 「覚醒」の体験から、大きく変わった事がひとつあります。
 3ヶ月ほどの絶大な愛を呼吸し続ける時を経て、私は人間らしい自然体に戻りましたが、心の在りようがまったく違っていました。以前はエゴが私を支配し、私の最前面で主導権を握っていましたが、それ以降の私は、エゴと首位の座を入れ替わった「ハイヤーセルフ」と常に共にいるという事です。

 自分が何を感じ、何を思い、どのような価値観で考えているのか、小さな子供を見守る年長者のような気持ちで自分を見ているのです。感情のムラや、意味のない抵抗などありません。いつもとても静かで冷静な精神状態にあり、物事の本質を見つめています。人の表面的な言動に惑わされることなく、心の奥深くから発せられるメッセージを受け取っています。

 しかし、感情がなくなったのではありません。むしろ逆です。面白いのは、以前よりエゴの感じ方が鮮明になった事です。感じること、味わうこと、触れること、ただ静かに呼吸することさえ、以前よりも強く深く感動的です。

 何かに触れると、様々な感情が作動し始めるのが分かります。私はそれを楽しみ、味わい、時にはめいっぱい表現し、人間であることの豊かさを満喫しています。それはまるで、楽しいおもちゃを手にしてるかのような愉快な感じです。

 

 

 1992年、初めてのインドへの旅は、私にとって生涯忘れる事のできないものとなりました。
 成長の旅は、旅に出ると決めたときから体験が始まります。出発する前から、気付きを促すような様々な出来事が起こり、旅のテーマを決めてくれました。
 旅は、「悟りを開く」かのような旅となりました。心の内側の隅々までが、旅の行程をこなす内に次々に浄化されていったのです。旅を共にする仲間達とのやりとりの中には、それまで当たり前と思っていた価値観が、根っこそぎ崩れていくような気付きが多々ありました。

 一番強く心に残る思い出は、目を閉じるとインドの景色が面々と続いて見えていたことです。まるでそのまま目を開いているかのように見え、それが旅の間中続きました。
 それは、私のインドでの過去生が歩いた道のりだったようです。閉じた目の中に広がる景色は、ずっと続く道でした。細い道や広い道、土がむき出しの地面に石ころがころがり、貧しい身なりの人達が合掌してこちらを向いているのが見えました。旅の夜は、その映像をずっと追いながら、いつまでも眠れない日々を過ごしました。
 旅の終盤、こちらを向いている人達の頭に、さしのべられる手を見ました。それは道を歩んでいる私の過去生の体からさしのべられ、年老いた手が合掌をする女性の頭へ届くのを、その老人の目線から見ていたのでした。
 インドを歩き続けた永遠とも思えるほどの映像は、いくつもの転生を意味していました。仏教徒で修行をしていた人生もありました。悟りを求めて、歩き続けた人生もありました。また悟りを得て、それを伝えて回る人生もありました。
 おそらく、何十回と、私はインドに産まれたことでしょう。この人生では初めて訪れたインドで、私は故郷に帰ったような思いを感じたのです。

 

 カルカッタでは、マザー・テレサにお会いすることができました。お亡くなりになる数年前のことです。
 私達が訪れた年、マザーは心臓の手術のためイギリスに行かれ、そのまましばらく静養されていましたので、帰国されるかどうかが大変気がかりでした。皆の思いが通じたのでしょう。マザーは私達が訪れる数週間前に、元気になり戻って来られました。
 マザーはこのとき82才。体は古くなってはいるものの、言葉づかいも所作もとてもしっかりとしていて、愛を語るマザーの声は、とても力強い情熱溢れるものでした。
 日本から訪れた私達を祈りの部屋に通して下さり、そこで1時間ほどお話しを聞かせて下さいました。そのあと、一人ひとりにダルシャン(祝福)を下さり、頭を「よしよし(英語で)」と言って撫でて下さいました。そして、アルミでできた“おメダイ(ペンダントトップのメダル)”を手渡して下さったのです。

  マザーテレサ  

 「世界中から貧困のために死んでゆく人々を一人でも多く助けたい」
 マザーの願いは、私の心の奥深くに染み込みました。そして、
 「私の手伝いをして下さい。それはインドでなくてもできます。
  あなたの国で、あなたの街で、あなたの周りの人々に、
  手を差し伸べて欲しいのです。」と、マザーが言葉を下さいました。

 人の役に立つ仕事がしたい。誰もが、自分の役割を探します。
 それは、マザーのように「死にゆく人の家」を設立したり、貧しい人々に手を差し伸べたり、壮大なイメージを抱くことでしょう。私もそうでした。
 しかし、マザーのひと言で、私の意識が激変しました。
 私の周りには、極端に貧しい人も、死ぬ場所が与えられずに苦しむ人もいないけれど、私の手が必要な人に、手を差し伸べることはできる。
 私は、ヒーリングを通してマザーのお手伝いができると思いました。ヒーリングを分かち合っていくことで、世界が平和になる一役を担えると考えたのです。マザーから頂いた言葉によって、私はスピリチュアルヒーラーとして生きていく決意をしました。

 マザーからいただいたおメダイは、マザーの願いを引き受けた決意として、今も肌身離さず着けています。これからも変わらず、私は、世界の平和のためにヒーリング活動を続けていくつもりです。
世界中の人々が、自分自身のためのヒーラーとなりますように。 合掌

寺尾夫美子 



著作
ヒーリングレッスン」 河出書房新社 2006年
ヒーリングエクササイズ」 河出書房新社 2007年8月

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